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わんこたん強化週間

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    隙間を埋め。
    以前の覚え書きではわんこたんの変化以前を全く書いていなかったので当然変化ど真ん中もスカスカなわけです。ということでそんぐらいの覚書。

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    詳しいことはわからないが、一説によるとどうやら質量とエネルギーは等価なのだという。
    それならば、僕が気づいたものも同様のものだと理解することで、なんとなく説明ができるのかもしれない。


    今や僕の目は、平均的な"視える"人たちよりも遥かに鮮やかに世界を捉えていることだろう。
    わずかな…いや、わずかだと推察される色調、濃度の差ですらくっきりと視認することができる。
    正直鮮やか過ぎて少し頭が痛い。

    僕のような人間に特異的であって、普通の人々にはわからない感覚なのだろうけど、そもそもこの色の存在が異常なものなのだと強く感じる。
    りんごを手から離せば地に落ちる。自明だ。
    同様に、少し気圧や空気の流れを操作すれば思うままに突風を起こすことが可能だって?そんな馬鹿なことがあるか。
    操作って何だ。
    炎はまあいいよ。色によって温度が大きく変化するのも納得できる。
    では例えば水が青いのは?
    風は現象であって物ではなく、色がないのに緑色だって?
    大地が褐色なのは、拒んだ色が少しばかり赤っぽいからにすぎないのに?
    激しく整合性を欠く。夢や妄想みたいだ。

    ……そう。きっとまさに妄想なのだ。
    だから僕にはとても鬱陶しい。



    最近色がどんどん濃くなってきているのは僕の能力の成長のせいだけではないと思う。
    そのせいでときどき体の節々がぎしぎしと音を立てて傷む。
    尤も、食う物には困らないからプラマイゼロなんだけどね。

    しかし今日は変な日だ。しきりに色の海がざわついている。


    晴れた空を見上げた。
    と、そのとき、紫色の雲が空一面に一気に広がり、すぐさま地上に向かって落ちてきた。
    とても濃い煙だ。
    煙は地中にもぐり、また炎のように地上から立ち上り、拡散しながら辺りを宵の色に染めていく。
    僕は濃厚な甘い匂いにむせ返り、気分が悪くなってその場にへたり込んだ。

    咳き込んで一通り胃の中のものを吐き出すと少し落ち着いた。
    ふと周りを見回すと、皆平然と過ごしている。
    なんで感じもしないんだ?僕は息をするだけでやっとだった。

    ほうほうの体で帰宅し、部屋長に食事は不要である旨を伝えると、ベッドに倒れこむ。
    ここにもあのすみれ色の煙がまだ漂い、僕の手足にまとわりつき、気管支に侵入して僕が動くのを妨げる。


    僕が目を醒ましたのは次の日の夕方だった。
    ようやく紫の煙はもやのように薄くなっていた。
    そこそこ動けるものの、相変わらず体調は良くない。
    仕事がない日でよかった。

    それにしても一体何が起こっているのだろう。
    気分は優れないが、どうしても気になって上着をはおる。
    外に出て目を凝らすと、西の空の方が僅かに霧が濃い。




    藤色がリンドウ色になり、それが空と同じ宵の闇色に変わる。
    霧の元を辿って進むほど、息苦しくなり足取りは重くなる。
    ようやくたどり着いた先で、僕は奇妙なものを見つけた。
    黒紫のかたまりが目まぐるしくその形を変えながら淀んでいる。
    蝶になったかと思えば荒れ狂う波になり、またどろどろとした無形のものに返ったかと思えば巨大な蛇となって鎌首をもたげる。

    これはなんだろう。
    形状がいやに具体的なのが気にかかる。
    考えをめぐらせるとすぐに一つの可能性が浮かんだ。
    僕が見えるもの。魔力。魔力の凝集。
    即ち魂。

    この魂は変わってる。
    普通はもっと、こんな体から離れた状態なら1時間もせず拡散してしまうはずだ。
    エネルギーが集まりすぎている。周囲の景色がゆがんで見えるほどだ。

    僕はそのとき気分が悪く、疲れ果てていた。
    煙の流れにさからって歩き、汗だくだ。
    魔力を摂取しなければ流れに抗えない。
    それを消してしまいたくもあった。

    「…おいで。」


    やり方はわかっていた。
    小動物や、もっと自我をもたないただの吹き溜まりのように。
    ただ今回は少し図体がでかすぎるだけだ。

    怯えた馬を手なづけるように近づき、僕はそれを、



    食べた。
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