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がくせん 星泡

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    ブチギレしょうたん



     
    今日は初陣だ。わたしが白軍として再生してから、初めての。

    黒軍での日々が泡沫に何も為さなかったわけではない。
    敵として認識してきた人間たちは、白軍の同胞となんら変わらない少年少女たちだった。
    心を通わせた、と思った人もいた。
    暖かく受け入れてくれた人もいた。
    身を呈して泡沫を守ってくれた人もいた。

    でも、それは「本当のわたし」へ向けられたものじゃない。
    白軍でなら、私は本当のわたしを受け入れてもらえる。
    わたしが少なからず信じる道のために戦うことができる。

    自分を想ってくれたあの小さな部隊長を殺した。
    その痛みすらも、飲みこんで血肉とするべき栄養だった。


    今日の戦いは黒軍の奇襲から始まった。
    非戦闘区域で部隊長を殺された。その報復だろう。
    つまり、わたしへの。

    白軍に戻ったときから覚悟は当然できていた。
    たった数カ月でも共に戦った人たちに、今度は敵として相対するのだ。
    慕われていた幹部の死、その報復となれば彼らの憎悪はさぞ苛烈であろう。


    できていた、はずだった。



    「うたちゃん」


    甘い声。
    ”うたちゃん、怪我はない?” ”うたちゃん、僕が来たから大丈夫だよ。”

    いつもは軽やかだったその声がじっとりと湿り気を帯び、泡沫の背筋をなぞった。

    「いや… 澱見泡沫。」


    ほの黒い殺意に満ちた瞳。
    冷たく見降ろす赤い眼光に射抜かれ、心臓をひやりと握られた心地になる。


    「僕は君を許さない。黒軍『斬り込み隊長』神名星姫の名において、君を粛清する。」

    彼の刀身はこんなに鈍い輝きを放っていただろうか。
    彼の身長はこんなに高かっただろうか。




    わたしはきょう、ここで、死ぬ。
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