がくせん!
俺は毎日テトマに向かう。テトマ信者と言っても過言ではない。テトマの新作肉まんは全て発売初日に制覇してきた。
500円購入ごとに引けるテトラくじも勿論毎日引いている。
今日も授業と演習が終わった。作戦会議がまだあるがテトマに向かう方が優先事項だろう。
今週の新作はテトラ沢庵まんだ。「世界一黄色い!」という何のアピールかわからないキャッチフレーズが逆に興味をそそる。
楽しみだなぁ。鼻歌うたっちゃう。
「テトテトテト〜マ テトテトマ〜」
「てとてと〜」
「……え?」
「よぉっす〜こんちは〜!」
俺の視界を遮ったのはちっさなカメのマスコット。
カメがぶら下がっているのは、白いブレザーを着崩した少年の腰だった。
人懐こそうな童顔に、くりっとした灰色の瞳が瞬きをしている。
大きな黒いケースを背負っているが、重さを全く感じさせない。
「えと…お前こないだ会った魔王様の…」
手結 紡。
黒軍の後輩、黒の美しき最終兵器、手結 維の弟らしい。
こないだユベキラーとカラオケ行った帰りに偶然会ったのだった。
しかし彼の所属は白軍。
姉がいるとは言え、何故黒軍の校門前に一人で来たんだ?
用があるなら呼び出せばいい。
「うん、紡だよ。カメです!」
「魔王様なら多分もう寮だよー?こんなとこ来るんでメールでもすればいいのに」
「ん〜、ちゃうんよね〜。今日は、えーと姫?氷上姫?に用事があって。」
「え、俺?」
「うん」
なんだろう。全く心当たりがない。
紡はうんしょ、と背中のケースを降ろした。
「突然ですが… 姫には、死んでもらおうと思います」
「なんで?!」
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