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【シャムシャ様コスまとめ◆杣尊邏函ΕΕッグ編

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    シャムシャ様コスプレまとめ

    2018年7月16日の第7回Text-revolutionsにて、丹羽夏子さん(しゃしゃさん)(@shahexorshid)のキャラのシャムシャ様のコスプレをさせていただいたときのコスプレまとめです

    その二

     

    前回

    http://aqua.aquablue.raindrop.jp/?eid=896953

     

    ※テキレボレポというよりはコスプレ準備に重心が偏っています

    ※エエ年こいたお姉さんのコスプレ写真とか入っています

    〇ウィッグ編

     

     このキャラを表現するにあたってキーとなるのは「青い髪」である。彼女をシンボリックにしている最も重要な記号であり、作品テーマやストーリーの軸となる要素でもある。生半可な表現をするわけにはいかない。しかも「足首まで届くほどの長くボリュームのある三つ編み」である。ウィッグの用意はこのコスプレにおける最難関であるといえよう。

     

     この長い三つ編みをどのようにウィッグとして用意するかはかなり難しい問題であった。スーパーロング160センチを編み込むには、欲しい色の在庫がない上些かボリュームに欠ける。80センチ程度のロングでは三つ編みにしたときにあまりに短い。そもそも色味も明るめのものにするのか、色相はどの程度のものにするのか絞り切れない。

     調査の結果参考にすることにしたのはクラッセのウィッグアレンジ実践ブログである。80センチウィッグ2つを使ってラプンツェル風のボリューミーな三つ編みを作るというものであった。

    (◆ラプンツェル風に大変身(上級★★★)◆ https://classewig.com/wig/blog/?p=7751)

     このためウィッグはクラッセPROを使うこととし、取り寄せたカラーサンプルを参考に色味は明るすぎず暗すぎず鮮やかなディープスカイブルー、DB02を注文した。

     ウィッグ制作は困難を極めた。行程は「綿を入れた3本の靴下の先にウィッグから分解した毛束を接着する→毛束のついた靴下を分解していない方のウィッグに縫い付ける→靴下と毛を一緒に三つ編みにする→毛束を整えて靴下が見えないように隠す」なのだが、これが慣れていないと難しい。まずロングウィッグの絡みやすさが全ての作業効率を下げる。常にワックスをつけ櫛で梳かし直しながらの作業となった。次に用意した靴下が短く、もう1セット同様のものを用意して各靴下に取り付け直すことになった。更に、靴下に入れる綿の量が多すぎたため、三つ編みがうまくできなかったことが追い打ちをかけた。この時は既に土台の方のウィッグに縫い付けた状態だったので靴下の横を切り裂き、綿を取り出して縫い直すという泥臭い方法を取らざるを得なかった。最も難しかったのは編む工程である。髪が絡まらないように気を使いつつ、緩みのないよう編み上げるには技術が必要であると感じた。またどうしても靴下を隠しきることができなかったので、編み上げた後に短い毛束を中に貼り足すという作業も実施した。

     

     

     


     

     ミナーは青いモザイクが散りばめられた壁を眺めながら、前を行く女官長のしなやかな背中に着いて進んでいた。長い廊下は薄暗く緩やかな弧を描き、数メートルおきに開けられた採光窓はただ外気と屋内とのコントラストを強調するだけだった。強張る足取りはほたほたと頼りない音を立てる。

    「でも、心臓の音はわたしの体を中から割ってしまいそう……」

     窓から差し込む強烈な光に目を焼かれ、彼女は反射的に目を背けた。

    白軍付の文官を務める父の推薦で、王宮で働き始めたのは先月のことである。ミナーの家は貴族とはいえ、政治の中枢とは何のつながりもない。財産は生活に不自由しない程度にはあるが、何もせずとも豪勢な暮らしをするには心許ない。ぱっとしない中流貴族の父は娘の将来を案じ、花嫁としての箔をつけるため名家での働き口を斡旋したのだ。この身分の家ではよく見られることであったが、父のコネクションのおかげで彼女の就職先は名門中の名門、即ち王家となったのだった。

    下働きとは言え、住み慣れた実家を離れて王宮に務めるというだけで、彼女の心は砂糖菓子のように崩れ解けてしまいそうだった。そればかりか今日突然、アルヤ国民にとって恐れ多き蒼い王宮、蒼宮殿の最深部に呼ばれたのだった。

     

    「入れ」

     凛として澄んだ声が鈴のように響き、ミナーの鼓動を揺さぶった。

     廊下の最奥、一際精緻なモザイクが組み嵌められた扉。女官長が恭しく扉を開け、優雅に頭を下げた。ミナーも同様に、いや女官長よりも前から頭を垂れ重厚な織りの絨毯で視界を埋めていた。

    「シャムシャ様、本日から御髪をお世話差し上げる女官を連れて参りました。」

    「ご苦労。顔を上げていい」

    ミナーの頭は真っ白になった。

    「どうした。顔を上げよ。名前は何という?」

    恐る恐る顔を上げた彼女の眼は、一面に広がる青い色をとらえた。

     

     豪奢な刺繍が施されたソファに座っていたのは、美しい少女だった。滑らかな肌は光り輝き、アプリコット色に艶めく唇は固く引き結ばれている。そして何よりも、滝のごとく床まで滑り落ちる豊かな髪が神々しく、エスファーナの青天より真っ青だった。アーモンド形のぱっちりした瞳も真っ青で極上のサファイアのよう、聡い光を湛えてミナーを見つめている。

    これが蒼き太陽、アルヤ王家の擁する第一王女。

    「(かみさま……)」

     信心深く王家への忠誠心厚い父から、蒼髪の英雄・初代アルヤ王の尊さを説かれて育ってきた彼女がそう思ったのも無理からぬ姿だった。

    「ほっ、本日より尊き御身のお世話を申し付かりました、ナヴァーイーの子ミナーと申します。恐れ多くも姫様の御髪を結わせて頂くこととなりました、あのっ、精一杯お仕え致します……」

    「そうか、美しい名だな。早速だがすぐに手入れを頼む。」

     中々に扱いづらい長さとなってしまってな、と微笑んだ王女を見て、ミナーは初めて彼女が自分よりも少し幼いことに気がついた。

     

     数分後、鏡の前に座ったシャムシャ姫の背後にミナーは立ち、青い絹糸のような髪に触れていた。生きた心地がせず頭がくらくらする。女官長が部屋の隅で監視しているのも緊張に拍車をかけた。

     

     髪結いはミナーの特技である。物心ついたときから、自分や母や姉妹の髪を美しく結い上げるのが大好きだった。裁縫も料理もあまり面白いとは思えなかったが、女性の長い髪を整え可愛らしい細工物に仕上げていくのが楽しくて仕方がなかった。家の外では隠さなければいけない髪が、マグナエの中で可憐に咲いていると思うとうきうきした。宮中でも自分や同室の女官の髪型を小奇麗に整えていたのが女官長の耳に入り、青い王女の部屋に呼ばれるに至ったのである。

     しかし今日、今まで何百、何千回と様々な髪を手名付けてきたはずの指は震えてうまく踊ってくれない。ひやりとした感触はさらさらと水のようにミナーの掌を零れ落ちてしまう。鏡の中のシャムシャ姫もその様子を察したのだろう、ほう、と息を吐いた。

    「時間がかかっても構わない。」

    「恐れ……いります……申し訳ございません……」

    姫様のためにも落ち着かなければ。自分に言い聞かせながら、目の前の作業に集中するよう努めた。

     シャムシャ姫の髪は腰を越えるほどに長く、おざなりに扱えばすぐに絡んでしまう。ミナーは少しずつ毛先から髪を梳り絡んだ部分をほぐし、髪油をつけて流れを整えていった。丁寧に分けた毛束をしっかりと握り、一目ずつ引き締めながら編む頃には幾分か心は穏やかになっていた。

    「お、お待たせ致しました……」

     長い髪は一つに編むとずっしりと重くなってしまう。だからせめて少しでも見た目に楽しめるようにと、横の毛束で作った細い三編みを更に編み込んで大きな三編みを作った。シャムシャ姫は頬をつやつやと紅潮させながら飾り三つ編みをなでたり、顔の角度を変えて鏡をのぞき込んだりしている。

    「……これはいいな!」

    「あの、姫様にお似合いかと思いまして…」

    何故かその言葉を聞いたシャムシャ姫がぱっと顔を輝かせた。

    「では、明日からも頼むぞ、ミナー。」

     

    ***********

     

     それからは毎日朝と晩に一度ずつ、王女の部屋に呼ばれて髪を結うのがミナーの日課となった。次の日からは部屋にレース細工のような美しい揚げ菓子やピスタチオの乗った砂糖菓子、瑞々しい果実が用意されていてシャムシャ姫とともにそれを食べることも許されていた。

    「やはりこう長いと重くて、首が痛いのが困る」

    「でしたら少しでも重さを分散できるよう、色々と結い方を試してみましょう」

    「そうだな、そうしてくれるか」

    「はい、腕が鳴ります。姫様ほどお美しくて髪も長いと、結う方もとても楽しくて」

     毎日一緒に紅茶を飲んで菓子をつまみ、共に過ごしていく中で、最初は天上の神だと思っていた姫と友人のように打ち解けているのが不思議でもあり嬉しいことでもあった。何より自分の手技で姫が喜んでくれるのは至上の喜びだった。

    「(わたしが今まで髪の毛を編んできたのはこの方のためだったんだわ。姫様もお年頃の女の子なのだから、お洒落をしていっぱい喜んで頂きたい…)」

     

     いつものようにシャムシャ姫の髪を梳っているときだった。

    「今日は洗ったばかりだからか、御髪がよくまとまりますね。どのように致しましょうか」

    「……なあミナー」

    少し重い声に違和感を覚えつつ、なんでございましょうとミナーは微笑んだ。

    「私の髪を切ってくれないか。やっぱり重くて仕方ないんだ」

    ぎこちなく笑いながらシャムシャ姫から発せられた言葉は、彼女に衝撃を与えるに十分だった。

    この、尊い髪を、切る……?わたしが?

    「お許しください!お許しください!わたしにはできません……!」

    ミナーは反射的に床にひれ伏し、かぶりをふった。自分でもこんなに大きな声が出たのかと、頭の一部は冷静に驚いていた。

    「申し訳ございません……!」

    姫がどんな顔をしているのかはわからない。

    「いい。戯れを言った。」

    冗談だ。どうせ私の一存では切れないのだから。

     諦めたように呟いた王女の声は、分厚い絨毯に吸い込まれていった。

    「お前も、そうか。そうだな、その名は……そうだな」

    虚空を漂うシャムシャ姫の言葉に胸が抉られる。黒い瞳からは滂沱の涙が溢れて止まらない。ミナーの名は王家にちなんでつけられたものだ。結局父の信心から、娘の自分も抜け出せなかったのだ。

    「申し訳……ございません……」

    「しばらくは、来なくていい。女官長には良いように言っておくから安心しろ。」

    大儀であった、とかけられた声は低く、ミナーは涙の跡も乾かないまま蒼い部屋を後にした。

     

     それから程なくしてミナーの元に縁談が舞い込み、女官の職を辞することとなった。彼女がシャムシャ姫を見ることは二度となかった。ただ奇跡のように許された短くも甘美な日々と、蒼く神々しい最後の後ろ姿だけが今も心に焼き付いている。


     

     

    ……というような「尊い青い御髪を震える手で整える女官ごっこ」をしながら乗り切った。

    ここで一つ気づいたのが「コスプレをすると現実に即した妄想がはかどる」ということである。ウィッグの整えにくさや重さは、蒼い太陽という偶像に振り回されるシャムシャ様の苦しみに対する納得感を、私の中で底上げしたように思う。

     

     

    ウィッグにはパールの飾りも編み込むように接着した

     

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